アイデンティティってなんだっけ?

アイデンティティに親の影響が占める割合は少なくないが、親自体はアイデンティティではない。
「親」と「親の影響」を区別すべきだ。
そもそも、自分の出自を「正当化する」必要はあるのか。自分は父親とは別の人間である。彼は親だったから、彼の悪影響を自分は大いに受けている。で、他にも良い影響、悪い影響を自分に及ぼした物事は色々とあるはずだが、なぜに父親?
あるいは、被差別部落の出身者がいたとして、彼はどう考えるのか。差別をしたのは社会であって、彼等はその被害者である。それは恥ずべきことか?
同様に、機能不全家庭の出身者がいたとして、彼はどう考えるのか。機能不全を生じた原因は親であって、彼等はその被害者である。それは恥ずべきことか?
逆に、自分が受けた良い影響もあったろう。それこそ、機能不全家庭に育ったからこを身に付けることのできた我慢強さや、気配りの良さ、人の気持ちを推し量る能力などは、優れた能力だろう。
このように、「出自」というのは本質ではない。自分がコントロールできない要因が、自分の人格形成に悪影響を及ぼした、ということが本質だ。
「出自」と「アイデンティティ」を区別すべきだ。「出自から影響を受けた自分」がアイデンティティなのだ。